花鳥画
浮世絵師たちは好んで花や鳥など自然の中の小さなモティーフに焦点を絞り、ズームアップして画面に収めた。花と鳥の組み合わせは多く、俳諧や狂歌が添えられることもしばしばあった。この主題を独立した分野にし、人気を高めたのは北斎や広重である。日本では室内を装飾的な浮世絵で飾ることが多く、花鳥画は壁や屏風などによく貼られた。
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鮮やかな色彩
ファン・ゴッホもこれらの浮世絵を壁に飾った。彼のコレクションには画びょうの穴の跡がある花鳥画が驚くほど多い。彼はとりわけクレポンを好んだ。クレポンは刷り上がった版画を加工して紙にしわを寄せたもので、色彩が非常に鮮やかであった。装飾性豊かであったためヨーロッパに大量に輸出された。
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クローズアップ
ファン・ゴッホは花鳥画の浮世絵から多くのインスピレーションを受けている。彼は日本人が小さなものに注意を向けることを称賛していた。サン=レミの精神病院の庭では、花や蝶を何枚かの油絵にしている。モティーフは画面からはみ出すほど大きくとらえられ、縁で唐突に構図が断ち切られている。自然に焦点をおくことによって彼は困難な時期に心の慰めを得た。